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『Mastering Bitcoin』日本語版刊行――ビットコインの設計がわかる一冊

2016/07/28

 7月14 日、ビットコインの本格的な解説書『Mastering Bitcoin』(アンドレアス・M・アントノプロス著)の日本語版である『ビットコインとブロックチェーン:暗号通貨を支える技術』(今井 祟也、鳩貝 淳一郎訳)が刊行された。

 

 『Mastering Bitcoin』はビットコインの技術理解のためのバイブルともいわれる本で、ビットコインの概念から始まり、どのような仕組みで動いているのか技術的な背景を図や具体例と共に深く解説していくもの。

 

 日本語版の刊行にあたり、翻訳者のおひとりである今井 祟也氏にお話を伺った。

今井氏はIT企業フロンティアパートナーズ合同会社の代表CEOで株式会社ブロックチェーンハブの技術アドバイザーも務める。博士号(理)も持つ。

 

「国内にビットコインの設計思想がわかる技術者を」 有志による丁寧な完全翻訳

 

 今回の日本語翻訳には多くの有志が関わっており、翻訳完成までおよそ11ヶ月、書籍出版までおよそ1年半、総ページ数320ページという大作だ。

 

「初めて英語版を手にとってすぐに、“誰か和訳を始めているだろうか”と思いました。もしもまだ誰もやっていないなら、自分自身の理解のためと国内の他の技術者の方のために翻訳に取り組んでみようと思ったのがきっかけです」と今井氏。

 

 この思いを当初から貫き、今井氏をはじめとする有志はすべての作業をボランティアで行い、今回の出版にあたっても印税はもらっていない。

 

 翻訳を始めた当初は出版の目途などは全くなかったが、「逆に自発的に始めていたからこそ自分達のペースで翻訳できたのかもしれません。

今回、出版することができてとても幸運でした。」と今井氏。

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エンジニアには技術理解の助けに、初心者も基本の仕組みや管理方法の参考に

 

 本書は、ビットコインに興味のある技術者にビットコインの設計思想の理解を助ける材料となればと今井氏。

 

 「ソフトウェアの仕様に基づいてなにかを作ることはすぐにできたとしても、この全体のエコシステムにどのような価値があるのかという設計思想についてはソフトウェアを使うだけでは見えてきません。SDKやAPI など開発キットを使えばウェブサイトと連携させるなどといったことはできるけど、次の開発につなげるには裏側が具体的にどう動いているか知る必要があります。

ぜひ、興味のあるエンジニアの方に読んでいただきたいです」

 

 また、本書は非技術者やまったくの初心者にとってもビットコイン全体を俯瞰する上でとても参考になる。イントロダクションの「ビットコインとは」や「ビットコインの仕組み」、また10章の「保管方法」などは興味のある方はぜひ読んでみてほしい。

 

設計思想がわかる技術者が増えると、今後のプロダクトが変わる

 

現在、ブロックチェーンの関連技術に携わるエンジニアは恐らく国内で数百人ではないか、と今井氏。

 

「ITエンジニアという括りで見れば国内に百万人弱いるのではということを考えると、人材はまだ少ない状況です。現在コミュニティは非常に若い段階ですが、今後成長していくためには設計思想を理解して、実際に設計ができるエンジニアが数千人ほどいてくれることが望ましい。

エンドユーザーが使うアプリケーションが大きく変わってきます」

 

 そもそもビットコインとは、通貨発行権が一部に限定されることなく均等な権利分配、発行権分配ができないかと考え出された仕組み。

権限がどこかに集中してしまうという従来のスタイルを均等にするというのが設計思想であり、そのためのエコシステムを具体的に構築したもの、と今井氏は説明する。

 

 そのため、「誰もが参加できる」ということに配慮した設計が随所にみられる。

例えば、ブロックチェーンのデータ容量は現在小さく抑えられているが、それは誰でもマイニングに参加できて、通貨発行権が持てるようにしたいという意図から来ている。

 

 また、ネットワークが破綻してしまわないように各ノード間がある程度自律的に通信量を制限するようになっている。例えばブロックチェーンのデータサイズは70ギガバイトくらいだが、自動的にダウンロードすると5日ほどかかる。

70ギガバイトは本来なら20メガbpsで7、8時間で完了してしまうサイズだ。これも、ネットワークに負荷をかけないようにと設計されていることだ。こうした設計がなぜ行われているのかは、設計理念を理解する必要がある。

 

「個人的にも、ビットコインについて面白いと思うのはこの設計思想の部分です。

今後も、この思想に基づいて生まれるものは増えてくるのではないかと思っています」

 

なるべく多くの人に読んでもらうため、この日本語翻訳はオープンエディションもある。

 

ビットコイン技術とその理念について、興味を持たれた方はぜひ手にとってみていただきたい。